50代の男性。
市の特定健診で受診され、特に自覚症状はありませんでしたが、健診結果で以下のような異常が見つかりました。

• LDLコレステロール（悪玉）182mg/dL
• 中性脂肪 210mg/dL

複数年にわたり高い数値が続いていたものの、これまで治療は受けていませんでした。
しかし今回は、「そろそろ本格的に見てもらおう」と当院を受診されました。

“症状がない”＝安心ではありません。
LDLコレステロール値や中性脂肪が高い状態が続くと、血管の内側に脂肪が蓄積し、動脈硬化が進行していきます。
この方も、HDL（善玉）コレステロール値とのバランスから、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高いと判断されました。
生活習慣を伺うと、

• 朝食を抜くことが多い
• 夕食が遅く、脂っこい食事が中心
• ほぼ毎日飲酒している

といった傾向が見られました。

生活改善＋薬の力でリスクを半減
まずは栄養指導で食事内容を見直し、週2～3回の軽い運動を取り入れていただきました。 2か月後の再検査で一部改善が見られたものの、LDLコレステロールは依然高めだったため、 スタチン系薬剤を1種類だけ導入。 治療開始から半年後、LDLコレステロールは 120 mg/dL台で安定。 生活習慣も継続でき、健康意識も大きく向上しました。

健診結果は“未来の病気予防のチャンス”
脂質異常症は、症状が出ないまま進行するため、「何も感じないから大丈夫」と見過ごされがちです。
しかし放置すると、心筋梗塞・脳卒中などのリスクが何倍にも増えることが知られています。
この方のように、健診をきっかけに早めに生活を見直し、必要に応じて薬を取り入れることで、血管年齢の若返り・将来の安心につながります。

【健診でコレステロールが高いと言われた方へ】
症状がなくても、血管の変化は静かに進んでいるかもしれません。まずは血液・血管の状態を“見える化”して、将来のリスクを減らしましょう。

　健診結果をもとに専門医に相談する （予約サイトへ）

50代の女性。

「父が心筋梗塞を起こした」とのことで、ご自身に症状はなかったものの、念のために健診を受けてみることにされました。

結果は、LDLコレステロール（悪玉）260mg/dL超。
通常の食生活だけではここまで高くなることは珍しく、詳しくお話を伺うと次のような共通点が見つかりました。

• 若い頃からコレステロールが高めだった
• 血縁者に若くして心臓病を起こした方がいる

このことから、「家族性高コレステロール血症（FH）」という遺伝的な体質が疑われました。

「家族性高コレステロール血症」とは？
生まれつきLDLコレステロールが体にたまりやすい体質で、見た目では分かりませんが、血管の中では油のかす（プラーク）が蓄積しやすい状態が続きます。
そのため、若い年代でも動脈硬化が急速に進み、放置すると心筋梗塞・脳梗塞などのリスクが2～5倍に上昇すると報告されています。

適切な治療で血管を守る
この方には、まずスタチン系薬剤を導入。さらに、LDLコレステロールを下げる作用を持つ追加薬を組み合わせました。
治療開始から3ヶ月で、LDLコレステロールは130mg/dL台に改善。
その後も安定しており、健康的な生活を継続されています。

「症状がない＝安全」ではありません
家族性高コレステロール血症は、自覚症状が出にくい“かくれた病気”の代表格です。
一般の人に比べて心筋梗塞などの冠動脈疾患を発症するリスクが10倍以上に高まるといわれています。
しかし、早期に発見し治療を始めれば、心筋梗塞などの重い病気を防ぐことができます。
家族に心臓病や脳梗塞を起こされた方がいる場合、一度は血液検査や「血管状態の見える化検査」を受けておくことをおすすめします。

【家族に心臓病・脳卒中がある方へ】
あなたのコレステロール値も、もしかすると遺伝の影響かもしれません。
一度、“血管の見える化チェック”で未来のリスクを調べてみませんか？

　家族性コレステロールの検査・相談を 予約する

60代の男性。

数年前からスタチン系の薬を継続していましたが、LDLコレステロールは160mg/dL前後、中性脂肪も200mg/dL台で推移。
食事はそれなりに気をつけているつもりで、「なぜ下がらないのか分からない」と不安を抱えて当院を受診されました。

まずは“見える化”で原因を特定。
「薬を増やす前に、なぜ下がらないのか」を数値と画像で見える化しました。
実施したのは、次のような評価です。

• 空腹時採血の再評価（LDL/HDL/中性脂肪）
• 甲状腺機能：軽い機能低下を確認
• 肝機能・腹部エコー：脂肪肝の所見
• 飲酒・間食の聞き取り：晩酌＋夜食の習慣
• 服薬タイミング・相互作用の確認（サプリ・漢方など）

結果、軽度の甲状腺機能低下と脂肪肝、そして夜遅い飲食の習慣が、「薬が効きにくい背景（隠れた原因）」として浮かび上がりました。

治療と経過：薬を増やす前に“土台”を整える

• 生活アプローチ：
  　夜食を控える／休肝日を週2回／食事内容の見直し（管理栄養士による食事指導）／夕方の軽いウォーキング
• 薬物療法の最適化：
  　服薬タイミングを見直し（毎日同時刻）、スタチンは継続しつつ追加薬を最小限で調整
• 関連疾患への対応：
  　甲状腺機能は専門診療科と連携してフォロー
  

その後：

• LDL 95～110mg/dL、中性脂肪 120～150mg/dLへ改善
• 肝機能が安定、体重**-3kg**
  
• 「夕方のだるさが減った」「検査結果の根拠が見えて安心」との感想

POINT：「増やす前に、見抜く」
脂質異常が改善しにくい理由は1つではありません。 甲状腺機能、脂肪肝、飲酒・夜食、睡眠不足、内服タイミング、体質や遺伝…。
“隠れた原因”を見極めて対処することで、最小限の薬でも十分に下がるケースは少なくありません。

【薬を飲んでいるのにコレステロールが下がらない方へ】
増やす前に、“隠れた原因”をチェックしませんか？
血液・肝臓・甲状腺・生活パターンまで、数値と画像で見える化します。

　隠れた原因チェック（相談・検査）を 予約する

60代の女性。

市の健診を欠かさず受けており、以前からLDLコレステロールが高めと指摘されていました。
更年期を迎えてから数値が徐々に上昇していましたが、症状がなかったため「様子を見ていれば大丈夫」と考えて過ごしていました。
直近の健診では LDLコレステロール 172 mg/dL。 さらに腎臓の数値（eGFR）も低下傾向を示したため、念のため当院を受診されました。

“沈黙の進行”を見える化
詳しい検査の結果、

• ABI（血管年齢）:実年齢より＋5歳
• 腎エコーでの血流抵抗上昇：腎臓への負担が増大

つまり、脂質異常症が原因で血管が硬くなり、腎臓への血流が弱くなっていたことが分かりました。
このように、
「症状のない病気（脂質異常症）」が、
「症状のない病気（慢性腎臓病）」を静かに進行させる。
まさに“２つの沈黙の進行”が同時に起こっていたのです。

早期介入で「血管と腎臓」を守る
食事・運動指導とあわせて、LDLを下げるスタチン系薬＋エゼチミブを導入。
3 か月後には LDL が 110 mg/dL 台に改善。ABIも改善傾向を示し、腎機能も安定しました。腎臓は一度ダメージを受けると回復が難しい臓器。
だからこそ、早めの治療介入が未来の腎臓を守るカギです。

POINT：「更年期のコレステロール上昇」は要注意
女性ホルモン（エストロゲン）が減ると、LDLコレステロールが上がりやすくなり、動脈硬化が進みやすくなります。放置すると、

• 心筋梗塞・脳卒中のリスク上昇
• 腎臓機能の低下

という“二重リスク”が静かに進行します。

【更年期以降のコレステロール上昇が気になる方へ】
症状がなくても、血管や腎臓の変化は静かに進みます。
今こそ“見える化検査”で、血管年齢と腎臓の健康をチェックしましょう。

　更年期からの脂質異常症チェック・相談を 予約する

50代の男性。

会社の人間ドックで「中性脂肪が高い」「脂肪肝の所見あり」と指摘されました。
ただ、ご本人には特に自覚症状もなく、「お酒も少し飲むし、年齢のせいだろう」と思っていたそうです。
しかし、ここ数年で中性脂肪が300～400mg/dL台を推移。
「このままではまずい」と感じて、当院を受診されました。

血液検査で明らかになった“リスクの重なり”
当院で再度血液検査を行ったところ、

• 中性脂肪：380mg/dL
• HDL（善玉）：38mg/dL とやや低値
• γ-GTP：軽度上昇

明らかに脂質代謝異常＋肝機能負担のサインが見られました。「脂肪肝」と「中性脂肪の高さ」は同時に進行しやすく、 放置すれば動脈硬化・心筋梗塞・膵炎 のリスクが高まります。

ペマフィブラート導入で数値が安定
生活習慣の見直し（夜食・飲酒の制限、軽い有酸素運動）を行いながら、中性脂肪を下げる新しいタイプの薬である ペマフィブラート を導入しました。
ペマフィブラートは従来の薬に比べ、

• 中性脂肪をより選択的に下げる
• 副作用（肝機能や腎機能への負担）が少ない

といった特徴があります。
3か月後の再検査では、

• 中性脂肪：380 → 150mg/dL
• HDL：38 → 48mg/dL

と明らかな改善を認めました。ご本人も「体が軽くなり、疲れにくくなった」と実感され、以後も良好なコントロールを継続中です。

POINT：「中性脂肪と脂肪肝」はセットで考える
脂肪肝は「沈黙の臓器のSOS」。
肝臓が脂肪を処理しきれず、血液中の中性脂肪も上がります。
「まだ症状がないから大丈夫」ではなく、
「今のうちに整える」ことが、将来の心臓・肝臓を守ります。

【中性脂肪が高い・脂肪肝を指摘された方へ】
症状がなくても、脂肪や血管の変化は静かに進んでいます。
ペマフィブラートなどの新しい治療も含めて、あなたに合った改善方法を一緒に考えましょう。

　中性脂肪・脂肪肝のご相談を 予約する

50歳代の男性。
これまで健診をほとんど受けてこられませんでしたが、50歳の節目に受けた人間ドックで、中性脂肪352mg/dLと脂肪肝を指摘されました。
普段の生活は、

• 食事は外食中心
• 夜遅くに食べることが多い
• 運動習慣はほぼなし

いわゆる“メタボ体型”でした。結果を見て驚き、「とりあえず油ものを控えよう」と自己流で1か月食事を工夫。
しかし再検査してみると、少し下がった程度で依然として高値。「やはり自分では限界かも」と感じ、当院を受診されました。

隠れていた“もう一つの原因”を特定
詳しくお話を伺うと、ご家族から「夜中に大きないびきをかいている」との指摘が。 睡眠時無呼吸症候群（SAS）の可能性を考え、簡易検査を実施したところ、重度の睡眠時無呼吸症候群 が判明しました。 無呼吸になると、体が酸素不足を補うためにアドレナリンなどのホルモンが分泌され、脂肪代謝が悪化し、中性脂肪が上がりやすくなることが知られています。

治療と生活改善の両輪で再スタート
CPAP（シーパップ）療法を開始し、睡眠の質を整えるとともに、 管理栄養士と一緒に「食事＋運動＋睡眠」の3本柱で取り組みました。

• 夜食をやめ、1日3食を整える
• 炭水化物のとり方を見直す
• 通勤時の階段利用から始める軽運動
• 睡眠の質を高めるための生活リズム改善

一時的に中性脂肪を下げる薬を使用しましたが、生活習慣が安定するとともに薬を減量。
半年後には 中性脂肪が正常化（120mg/dL台）、体重も減少し、最終的に薬を中止することができました。

POINT：「原因を見つけて整える」ことが最良の治療
脂質異常症は「薬で治す」だけではなく、体質・生活・睡眠・代謝など複数の要因を整えることで改善できる場合があります。
特に、

• メタボリック症候群の方
• 睡眠の質が悪い方
• 運動が苦手な方

でも、専門チームのサポートのもとで続ければ、薬に頼らない改善が可能なことがあります。

【中性脂肪が高い・薬を減らしたい方へ】
薬を増やす前に、“生活と睡眠”を整えてみませんか？
原因を見える化し、あなたに合った改善法を一緒に見つけます。

　中性脂肪・生活習慣の相談を 予約する

「“数値だけ”の話ではありません」
脂質異常症（高コレステロール・高中性脂肪）は、症状がないまま静かに進行し、 動脈硬化・心臓病・脳卒中・腎臓病といった重大な病気につながります。
しかし、そのリスクは“気づいた時点”から確実に減らせます。

脂質異常症の治療は、“放置”ではなく“理解”から始まります。
あなたの体質・生活・背景を一緒に見つめ直すことで、薬に頼りすぎず、無理なく続けられる方法がきっと見つかります。

【コレステロール・中性脂肪が気になる方へ】

健診で数値が高いと言われた

薬を飲んでも下がらない

家族に心臓病がある

更年期以降で数値が上がってきた

中性脂肪・脂肪肝を指摘された

薬を減らしたい・やめたい

どんなきっかけでも構いません。
まずは“血液と血管の状態”を見える化して、今できる最善の方法を一緒に考えましょう。

　脂質異常症のご相談・ご予約 はこちら